染付牡丹見込芙蓉割(そめつけぼたんみこみふようわり)
中国を原産とする牡丹の花は、唐の頃から「花の王」として尊ばれ、皇帝から文人、庶民までひろく愛好されました。詩歌の世界では、かの李白や白居易が絶世の美女・楊貴妃の美しさを牡丹になぞらえ、名歌の数々を遺しています。
器形は芙蓉(蓮)の花をかたどり、見込み中央の円窓には主文様の牡丹を配し、四角く区切った花弁状の窓には、多彩な草花文を流麗なタッチで描きました。
江戸期に有田から輸出され、西欧貴族たちのあこがれを誘った古伊万里の、呉須のブルーが香り立つ「芙蓉手」の魅力を今に伝える人気のやきものです。